TSMCが3nm半導体の投入を前倒しするようです。
微細化が進む半導体の3nm品投入の皮切りになりそうです。
半導体業界関係者にとっては、見逃せない情報ではないでしょうか。
TMSCは3nm半導体だけでも3種類開発しています。
それぞれN3・N3B・N3Eと呼ばれますが、どういった半導体になのか解説します。
また、ライバルであるサムスンの3nm半導体はいつ頃になるのか?
こちらも併せて予想してみます。
この記事からこんなことが分かります。
TSMCの3nm半導体とは?
TSMCは3nm半導体を複数開発しています。そもそも3nm半導体というのは、半導体中の線幅や加工寸法が3nmの半導体を指して使います。半導体の技術の発展は、『線幅をいかに短くするか』の発展でもありました。
そして、TSMCの3nm半導体は、世界でも最先端の半導体と言えるのです。半導体は、線幅が短ければ短いほど、高性能とも言い換えることが出来ます。つまり、TSMCの3nm半導体は世界で最も優れた半導体になるわけです。
TSMCは3nm半導体は、大きくN3・N3B・N3Eと分けることが出来ます。今回、当初の予定より早く完成を迎えると言われているのがN3Eというタイプの3nm半導体となります。
TSMCの3nm半導体:N3
N3はTSMCの3nm半導体としては、基本となるデザインの半導体です。ベースとなるデザインで、恐らくTSMCの3nm半導体の中でも最も量産化される半導体になるのではないかと思います。
N3をはじめとして、3nm半導体はかなり技術的にハードルが高く、TSMCをもってしても開発には相当な時間がかかっていました。現時点でも、N3については問題点が多く、良品率が高くないとされています。
N3はアップルのアイフォンに搭載されると噂されていますが、良品率が高くないことから、チップレットになるのではないかとも言われています。
アイフォンを始めとして電子機器の中には、たくさんの半導体が詰め込まれています。これらの半導体は同じ線幅の半導体で構成されることが大半です。しかし、これを複数の線幅の半導体で構成することをチップレットと言います。今回のアイフォンの例でいえば、当初3nm半導体のみで構成する計画でしたが、5nmと3nmの半導体を組み合わせて構成すると言われています。
N3は2022年後半から製造開始とされていますが、良品率の問題があるため、TSMCは3nm半導体の中でもN3Eと呼ばれる3nm半導体の立ち上げを急いでいます。
TSMCの3nm半導体:N3E
N3の良品率の低さを補うために開発が急がれているN3Eですが、完成が早まったと言われているのがこちらの3nm半導体になります。いくらTSMCと言えど、3nm半導体の投入を遅らせることは出来ませんので、早急に対策を打つ必要があったわけです。
となると、N3EはN3の改良品??
実はN3Eは、N3の廉価版のような位置付けです。
半導体の性能が線幅によって決まると説明しましたが、これは線幅が短ければそれだけ密度の高い半導体を製造することが出来るためです。当然、密度が高ければ半導体の製造ハードルは上がることになりますが、N3Eは、N3より密度を下げることで良品率を向上させました。
具体的には、N3EはN3よりも8%が密度が低い3nm半導体となっています。TSMCとしては、3nm半導体としてN3Eを製造することは本位ではなかったかもしれません。しかし、N3の良品率の改善としては致し方ない選択肢だったのではないかと思います。
ちなみに、TSMCは3nm半導体の前の技術として、5nm半導体を製造しています。N3Eは密度を下げたと言いつつも、5nm半導体よりも60%も高密度であり、最先端の半導体としては申し分ない性能だと言うことが出来ます。
N3Eは、2022年3月には完成すると言われており、当初の製造開始は2023年10~12月ぐらいになるだろうと言われていました。それが、2023年7月~9月には製造開始出来る見込みとなっており、いち早く市場に投入したTSMCの思惑が見て取れますね。
TSMCの3nm半導体:N3B
N3Bは、N3をベースとして客先ごとに特殊にカスタマイズされた半導体となる見込みです。現時点では、TSMCからもN3Bについては多くの情報は出てきていません。
N3Bについては、情報が出ましたら追記していきます。
サムスンの3nm半導体は?
TSMCの最大のライバルと言えるのが韓国のサムスンですが、そのサムスンの3nm半導体はまだまだ先のことになりそうです。技術的にはTSMCとライバル関係とされていましたが、現在は、別の問題に巻き込まれています。
それが、【歩留まり詐称疑惑】です。
日本でもたびたび聞かれる詐称疑惑ですが、サムスンは現時点の4nm半導体の歩留まりについて詐称した情報を顧客に流した疑いがかかっています。4nm半導体の歩留まりについては、クアルコムがサムスンに依頼した製品で35%とも言われています。
100個製造して、35個しか製品にならないんだね。
そういった状況ですので、サムスンが3nm半導体を市場に投入する可能性は低く、まずは既存の4nm半導体の歩留まり改善に着手すると見られています。既にクアルコムは3nm半導体を利用した次世代製品については、TSMCに3nm半導体の製造を依頼したと噂されており、3nm半導体はTSMCに軍配が上がりそうです。
TSMCは3nm半導体を日本で作る?
残念ながらTSMCが3nm半導体を日本で作ることはありません。熊本にTSMC・ソニー・デンソーの合弁会社であるJASMが半導体工場を製造しますが、ここで取り扱われるのは22/28nmや12/16nmの半導体となります。
3nm半導体と比べると何世代も前の半導体となりますが、それでも日本国内で製造出来る半導体としては、かなり高い技術であり、まだまだ利用価値も多い半導体であり、半導体不足の解消を担ってくれることが期待されています。
TSMCの3nm半導体のまとめ
TSMCの3nm半導体は、N3・N3Eと順次、製造が開始される見込みです。しかし、まだまだ問題は山積みで、特にN3については、良品率の改善が必須事項となります。
そのために、N3Eの開発が急がれており、2022年3月には完成予定となっています。N3の良品率の改善が上手く進まなければ、N3Eを採用する企業も増えるかもしれません。
今後も微細化が期待されている半導体ですが、まずはTSMCの3nm半導体がどのようになるのか?
関係者は目を離すことが出来ないでしょう。
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