半導体不足がもたらした苦しい楽天&笑うテスラ。この差はどこに?

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世界的な半導体の製品不足で自動車業界をはじめ、苦しい業種が報道されています。

楽天モバイルも、その苦しい業種の1つです。

一方で、半導体の製品不足の中でもEVメーカーのテスラは好調な業績となっています。

モバイルとEV、異なる業種ではありますが、この2社の違いはどこにあるのか?

半導体の製品不足への対応の違いについて説明します。

化学工学人
化学工学人

この記事はこんな方にオススメです。

  • 半導体不足の影響について知りたい方
  • 楽天モバイルの基地局トラブルについて知りたい方
  • テスラの好調な理由について知りたい方

楽天モバイルが抱える問題

半導体不足は、自動車業界で語られることが多いのですが、実は楽天モバイルも他人事ではありません。

世界的な半導体不足によって、今、大きなトラブルを抱えています。

トラブル①:基地局整備の遅れ

楽天モバイルが半導体不足によって抱える大きな問題が基地局整備の遅れです。

基地局というのは、携帯やスマートフォンが電波のやり取りをする機器であり、これが街中にたくさんあれば繋がりやすいということになります。

楽天モバイルでは、今年の夏までに人口カバー率96%を目標としていました。

しかし、基地局整備に必要な半導体が不足したことによって、目標を後ろ倒しする必要に迫られ、繋がりやすい環境作りに待ったがかかっている状況なのです。

4万4000局の設置目標に対して、1万局分不足しているとのことで、およそ25%分が不足しており、深刻な状況だというのは理解できますね。

トラブル②:ローミングエリアの縮小

2つ目は、ローミングエリアの縮小です。

ローミングというのは、繋がらないエリアでは、他社の回線をレンタルして提供することですが、楽天モバイルではKDDIの回線をローミングしてサービスを提供しています。

このローミングエリアを10月より縮小しています。

理由は、ローミングによる支払いが収益を圧迫しているということで、楽天モバイルはサービス拡大に向けて契約者数を増やしていますが、同時にローミングにより支払いも増えていたわけです。

当初の計画では、既に夏までには人口カバー率96%を達成し、何ら問題なかったわけですが、目標に到達しない中でのエリア縮小によって、繋がりにくいなどのユーザー不満も見られています。

トラブル③:契約者離れの危機

繋がりにくくなったことにより、契約者が離れる危機も想定されます。

圧倒的な料金プランで契約者数を増やしている楽天モバイルですが、あくまで繋がってナンボの世界ですので、繋がらなければ楽天モバイルである必要はありません。

元々、プラチナバンドの割り当てがない楽天モバイルは、地下などでは繋がりにくく、ユーザーの不満の種となっています。

そういった状況の中で、楽天モバイルとしては、これから基地局設置が完了し、繋がりやすい環境を構築するまでは正念場と言えそうです。

基地局設置が完了するまでの間、ユーザーを引き付ける魅力的なサービスが出てくるかもしれません。

半導体不足の中テスラはどう乗り越えたか?

楽天モバイルに対して、好調を維持しているのがEVメーカーのテスラです。

同じ半導体不足の中でもここまで差が出るにはどういった理由があるのでしょうか?

ここにテスラの強みが隠されています。

強み①:圧倒的な機動力

世界の半導体不足にテスラも悩まされたのは、楽天モバイルと変わりません。

しかし、テスラは必要な半導体が不足するのが分かると、代替品の使用に舵を切りました

半導体と言っても、種類は様々で製品によっては購入出来るものもありました。

テスラは、半導体の中でも購入出来るものを調達し、調達出来ない半導体の代替品にしていったのです。

それも他者が真似出来ないスピードで行っていきました。

通常、半導体を切り替えるだけでも安全性の確認など膨大な作業量が発生するので、多くのメーカーは二の足を踏むのですが、テスラはそこを圧倒的な機動力で駆け抜けていったわけです。

強み②:重要な部品は自社で調達

テスラが半導体不足にも負けなかったもう1つの要因は、とても重要な部材は自前で調達することが出来たということです。

テスラはEVの会社であることは間違いありませんが、もう一方で、自社の半導体を開発する側面も持っています。

自分達にとって、最も大事な部分は自分達で開発しており、テスラ専用ですので、需要増による供給不足に陥ることはありません

日本のメーカーでは見られない体制ですが、アップルやグーグルなどでは同様の体制が取られています。

強み③:サプライヤーにとって圧倒的な魅力

テスラは革新的で魅力的な電気自動車をユーザーに届けてくれます。

と同時にサプライヤーにとっても、大変魅力的な企業です。

サプライヤーにとって魅力的な企業というのは、たくさん売れる企業であることに間違いありませんが、自動車業界は長らく『ジャスト・イン・タイム』の取引が主流となっていました。

これはメーカーでは在庫を最低限にし、必要なタイミングでサプライヤーが供給するというシステムですが、サプライヤーにとっては一定の負荷となっていました。

それに対して、テスラは計画に基づき、発注を拡大するため、サプライヤーとしては大変魅力的なのです。

テスラが非常に魅力的であることから、半導体もテスラに優先的に供給されているという噂が立つほどで、いかにサプライヤーがテスラ向けの供給を重視しているかが分かります。

これは何も半導体に限ったことではなく、例えば、EVに必須の電池では、パナソニックや中国、韓国のメーカーがテスラへの供給に向けて競い合っています

このようにサプライヤーから魅力的であるが故、様々な供給において忖度が働いたとしてもおかしくはないでしょう。これも立派な強みの1つです。

半導体不足は収束に向かいつつある

半導体不足ですが、一時期の危機的な状況は脱して、今は収束に向かいつつあります。

自動車業界などでは、減産などの話題に事欠かないため、安心できるレベルではありませんが、ルネサスの火災事故が発生した時期に比べればだいぶマシになっています。

しかし、まだまだ半導体の需要が旺盛なのは間違いありません。

TSMCやマイクロン、キオクシアなどの国内投資の話もありますが、半導体が製品となってくるのは、数年先の話です。

それまでは、今のような状況がダラダラと続くのではないかと見ています。

今後、企業には半導体の調達力も業績を左右する重要なファクターになるはずです。

半導体不足のまとめ

世界の半導体不足によって、企業の明暗は様々です。

楽天モバイルは、基地局設置が思うように進んでおらず、ローミングエリア縮小によって、今後、ユーザーを失う可能性すらあります。

テスラは危機を上手く乗り切り、販売を拡大したことで、ますます確固たる地位を築いていくでしょう。

ピンチやチャンス!とはよく言いますが、今回の半導体不足のピンチも企業によっては、上手くチャンスに切り替えられたということですね。

化学工学人
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日常の雑談ネタに参考にしてみてください。

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