『COP26とは?』脱炭素を巡る国際社会の覇権争いである

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イギリスで開催されるCOP26は、地球の環境を守るために国家の代表が集まる会です。

しかし、裏の姿は脱炭素を巡る国際社会の覇権争いの場とも言えます。

日本も参加しますが、COP26の結果によっては産業に大きな影響を与えることになります。

気になるCOP26がどんな会議なのか、解説したいと思います。

化学工学人
化学工学人

この記事はこんな方にオススメです。

  • COP26とはどんな集まりなのか知りたい方
  • 脱炭素がなぜ覇権争いに発展しているのか知りたい方
  • 脱炭素とは簡単に知りたい方

COP26とは脱炭素に向けてできることを確認する場

ニュースなどで良く聞くCOP26ですが、正確には第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議と言います。

あまりにも名称が長いので、COP26で覚えている人がほとんどです。

COP26の日程は、10月31日からイギリスで開催され、日本も参加します。

表向きは地球環境を守るための重要な会議ですが、一方、裏では各国の思惑が交錯するという、非常に興味深い会議になっています。

ここでは、COP26を理解するために重要な3つのポイントを紹介します。

COP26のポイント①:目的は温暖化の防止

COP26の目的としては、地球温暖化の防止となります。

2015年、温暖化対策として『パリ協定』が採択されましたが、COP26では、各国の取り組みが確認され、温暖化防止の進捗について協議します。

話し合いには、ICPPという組織が作成した報告書を元に行われますが、ここに何が記載されるかというのは、実はCOP26においては非常に重要な要素になっています。

ここに『化石燃料は即座に止めるべきだ』と書かれていれば、COP26はそのような議論で進むことになり、化石燃料に依存している国は、早急に転換を求められる可能性があるわけです。

そのため、各国、COP26にどういった報告書が提出されるのか非常に慎重になるわけです。

COP26のポイント②:決定には従う必要がある

COP26には、法的な規制というものは存在しません

しかし、COP26の決定は、国際社会が従うべき指針であり、事実上は『従う必要がある決定』となります。

そのため、各国、決定事項は出来るだけ自国に不利にならないように配慮するばかりか、有利にし覇権を握ることが出来るように尽力することになります

特に脱炭素というのは、産業において重要なポイントになっています。

脱炭素における覇権を握ることは、すなわち自国の産業の繁栄へと繋がることになるわけです。

逆に他国に覇権を握られ、日本に不利な決定となれば、今後、苦しい環境の中で戦う必要が出てくることになるわけです。

COP26のポイント③:COP26が始まる前から勝負はスタートしている

ここまで来るとCOP26がいかに重要な会議であることが分かるかと思います。

COP26の日程である10月31日を前に、水面下でのやり取りは始まっています。

例えば、日本は化石燃料を擁護しており、ICPPに対して報告書を改正するようにロビー活動を行っていると報じられました。

しかし、これは日本に限ったことではなく、各国、ロビー活動が行われており、いかに自国に有利な形でCOP26を迎えるかに尽力していると言われています。

もちろんICPPは中立の立場であることから、そこには科学的な根拠があるわけですが、その枠組みの中で様々な思惑が交錯しているわけです。

脱炭素は日本の未来を占う重要なポイント

COP26の決定次第で、今後の日本の産業は大きく変化することになります。

上手く覇権を握ることが出来るのか?勝負はそこにかかっていると言えるでしょう。

ポイントの1つは、『CCUS』の取り扱いになると見ています。

脱炭素による影響①:CCUSの取り扱い

CCUSとは、排出された二酸化炭素を回収し、地下に埋めたり、別の物質に固定する技術のことを言います。

脱炭素というのは、排出しないのが一番ですが、排出された二酸化炭素をCCUSなどの技術によって解放しないのも1つの対策になります。

日本は、このCCUSを推奨する国家の1つです。

どうしても産業構造上、二酸化炭素の排出量は大きく削減することがすぐには難しいため、排出した二酸化炭素をCCUSによって処理することで対応したいわけです。

このCCUSが、COP26で脱炭素に有効だと認められれば、日本はこの先もCCUSの開発していく道を模索するでしょう。

しかし、CCUSが認められない場合、二酸化炭素の排出量の大きな削減が求められるため、既存の産業に大きな影響を及ぼすことになります。

脱炭素による影響②:自動車と電力

大きな影響を受けることになるのは、『自動車産業』と『電力産業』になります。

自動車は、ガソリン車から排出される二酸化炭素が規制されることにより、必然的にEVへの転換が求められることになります。

各メーカー動き出しているものの、他国に比べれば、出遅れ感もあり、厳しい状況になることは間違いないばかりか、EVへの転換によって多くの人が職を失うことになるでしょう。

もう1つが、電力産業になります。

日本は、火力発電がメインの発電方法となっていますが、その原料は化石燃料です。

そして、化石燃料による発電は、大量の二酸化炭素を排出します。

これが規制対象となれば、他の発電方法に頼らざる負えないことになり、発電量不足や電気代の高騰につながることとなります。

脱炭素による影響③:一般消費者(つまり、私達。)

この2つの産業が影響を受ける先に待っているのは、一般消費者、つまり私たちの生活への影響です。

分かりやすい影響としては、先ほども紹介した『電気代の高騰』があげられるでしょう。

既に電気代の値上がりはスタートしていますが、それがますます顕著になるはずです。

電気代が上がれば、他の製造業なども影響を受けることになりますから、産業全体に影響が及ぶことになりますね。

様々な製品は値上がりし、日々の生活を圧迫するなんていう未来が待っているわけです。

その時、私たちの給料が上がっていれば少しはマシかもしれませんが、残念ながら現時点ではその期待は薄そうな気がします・・・

脱炭素社会でできることは?

悲観的なことばかり書きましたが、一般消費者でも脱炭素社会で出来ることはないのか?

この視点は、とても重要です。

COP26や脱炭素社会は、地球環境保護が大前提であり、それは私たちにとっても他人事ではないからです。

簡単に出来ることとしては、『公共交通機関の利用と節電』となります。

当たり前のこと過ぎるかもしれませんが、オーストリアなどでは、公共交通機関の利用を促すために革新的な政策を用いて、国をあげて対策しています。

日本では、まだまだ自家用車がなければ生活出来ないエリアもありますが、自動運転など最新技術の開発に伴い、オーストリアのような政策が可能になるかもしれません。

『COP26』と『脱炭素』のまとめ

COP26は脱炭素に向けた国際協議の場でありながら、覇権争いが繰り広げられる場でもあります。

ここでの決定が、日本の産業に大きな影響を与える可能性があり、目が離せません。

しかし、本来の目的である環境保護は他人事ではありませんので、まずはCOP26の動向を見守りつつ、日頃の脱炭素な生活を意識したいところです。

化学工学人
化学工学人

COP26の日程は10月31日から。目が離せません!

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