【初心者向け】TSMC熊本工場と日本の半導体不足について解説

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TSMCの熊本工場誘致で日本の半導体事情も盛り上がってきています。
半導体関係者の方々の中には実感している方も多いことでしょう。

一方で、気になるのは・・・

TSMCの熊本工場が出来ることで、半導体不足は解消するのか?

今回は、TSMC熊本と半導体不足について解説したいと思います。

化学工学人
化学工学人

この記事からこんなことが分かります。

  • TSMC熊本工場が出来て半導体不足は解消するのか?
  • 半導体不足でどんな影響が出ているか?
  • 国内の半導体事業はどうなっているのか?

TSMCの熊本工場とは?

半導体

TSMC(台湾積体電路製造)の熊本工場建設がニュースでたびたび報道されています。今や半導体の王者とも言えるTSMCが来ることになれば、日本への影響は計り知れないものとなるでしょう。

そんなTSMCの熊本工場ですが、現在、下記のようなことが分かっています。

  • 建設地は熊本県の菊陽町
  • 投資額は9800億円(半分は日本からの補助金の予定)
  • タッグを組むのは、ソニーとデンソー
  • 建設を担当するのはスーパーゼネコンの鹿島建設
  • 採用人数は1700人の予定
  • 製造するのは、28/22nmと16/12nm製品

投資額が9800億円は、当初の計画8000億円から1800億円も積み増された結果です。

また、採用人数も1700人と報道されていますが、周辺の関係メーカーなども合わせれば、全体で3000人を超える雇用が創出されると期待されています。

化学工学人
化学工学人

九州に大きな経済効果が期待出来るのは間違いなさそうです。

半導体不足による危機

ニュースでよく聞く半導体不足ですが、かなり危機的な状況です。

ただ、イマイチ実感がわかない人も多いのでは?と思います。
なぜなら、半導体を直接購入するという人は、ほとんどいないためです。

例えばですが、「自動車の納期がいつもより長い」とか「スマートフォンの出荷台数が少ない」とか「エアコンが品薄」なんていうのも半導体不足による危機です。

こうやって具体例を示されると思い当たる節がある方も多いと思います。

事実、エアコンの品薄は深刻です。
例年、暑くなってから本格的に売れ出すエアコンが、今年は品薄ということもあり、先に抑えてしまおうという需要が伸びているほどです。

TSMCは半導体不足の救世主か!?

TSMCの熊本工場は半導体不足の救世主になるのか?

当サイトでは、TSMCが熊本工場を作ることで、大きく貢献してくれるのではないかと考えています。

理由は、ズバリ・・・・
日本がたくさんの補助金を支払っているからです。

今回、TSMCには日本から補助金として4000億円以上の金額が支払われる計画です。これだけの補助金を支払う以上、TSMCと日本の間には半導体供給についても、一定の約束が設けられているはずです。

TSMC側としても、熊本工場を作った以上、日本に半導体を供給するのが最も効率が良くなります。こういったことから、TSMCから日本に多くの半導体が供給されることになり、半導体不足の解消に大きく寄与してくれることが想定出来ます。

TSMCの熊本工場で作るもの

半導体の研究イメージ

TSMCの熊本工場ではどんな半導体が作られるのか?

半導体に詳しい方であれば、半導体にはいくつもの種類があることはご存知だと思います。最も分かりやすいのが線幅と呼ばれるもので判別する方法ですが、TSMCの熊本工場では、28/22nmと16/12nmの半導体が製造される予定です。

これは残念ながら、世界最先端の技術ではありません。
3nmや2nmといった線幅が最先端の中、28/22nmや16/12nmと言った半導体は少し遅れた技術で製造される半導体と言わざる負えません。

しかし、こうした半導体も日本では多くの需要があります。

例えば、自動車業界などはそういった半導体を多く使っている業界です。こうした半導体の供給が安定するだけでも、自動車業界には大きな恩恵となるのです。

ちなみに、今回、TSMCとタッグを組むデンソーですが、トヨタ系列の会社として有名で、トヨタに半導体を供給しています。デンソーがTSMCとタッグを組んだということは、トヨタへの半導体供給のルートが確立されたと言って間違いないでしょう。

2022年7月22日追記

半導体市場は、短期的には半導体が余ってくるとの見通しが発表しています。つまり、半導体不足は解消されるかも!?という見通しがたっています。半導体不足によって、納期がかかっていた機器も解消されそうです。しかし、中長期的にはたくさんの半導体が必要なのは間違いなく、TSMCをはじめ、各半導体メーカーは投資を計画しています。

TSMC以外の状況は?

TSMCの熊本工場の建設を皮切りに国内では続々と半導体に対する投資の話題が出ています。

例えば、日本を代表する半導体メーカーであるキオクシア。四日市に7棟目となる半導体工場を建設中ですが、更に北上に2棟目の半導体工場の建設を発表しました。

このK2と呼ばれる半導体工場は清水建設が担当しているようですが、TSMCの熊本工場と同じように地域に多くの雇用など経済効果がありそうです。

TSMC、キオクシアと同じように日本国内で半導体を製造しているのがマイクロンです。マイクロンは広島に工場がありますが、2022年内にはDRAMと呼ばれる半導体製品の最先端品の製造を開始することを発表しました。

また、広島に新工場を新設する!?なんていう話も飛び交っています。

その他、日本を代表する装置メーカーである東京エレクトロンが宮城県に新たに470億円の研究棟の新設を発表しています。今後も半導体業界に関する各社の投資は旺盛な状況が続くでしょう。

化学工学人
化学工学人

半導体業界全体で雇用の創出、大きな経済効果が見込めそうだね。

TSMC熊本と半導体不足のまとめ

TSMCの熊本工場建設は、半導体不足に陥る日本に大きく貢献してくれるでしょう。

しかし、TSMCだけでは今後の半導体需要を賄うことは難しいほど、昨今の半導体の需要は高まっています。これらの需要の中、日本の半導体不足を解消していくためには、各メーカーの一層の生産増強・技術発展が重要になってきます。

半導体業界の発展には、ますます期待したいところですね。

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