【朗報】TSMCが熊本に半導体工場を建設!建てるゼネコンは?

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世界最大の半導体生産受託会社である『TSMC』が熊本県の菊陽町に半導体工場を建設する計画が発表されましたが、気になっている関係者の方も多いと思います。

TSMCが半導体工場の建設でタッグを組むのは、日本を代表する企業のソニーです。

今や世界中で半導体不足が騒がれ、日本のお家芸ともいえる自動車産業も減産を強いられています。TSMCが半導体工場を建設することで半導体不足は解消するのか?

また、この半導体工場を受注するゼネコンはどこなのか?TSMCの半導体工場について気になる話題、考えてみました。

化学工学人
化学工学人

この記事はこんな方にオススメです。

  • TSMCの熊本への工場建設が気になっている方
  • 半導体業界のニュースについて知りたい方
  • TSMCの工場建設を請け負うゼネコンについて知りたい方

半導体不足で自動車が減産!

世界中で半導体不足が騒がれるようになり、業界に属さない方でも半導体の重要性は日に日に理解されつつあります。

今まで、半導体というと、スマホやPCをはじめとして、電子機器を製造するのに必要な部品程度の位置づけでした。

しかし、最近では、この半導体が不足することにより、自動車メーカーが減産を余儀なくされるなどの状況に陥り、半導体を巡った国家間の水面下での争いにまで発展しているのです。

世界中の自動車メーカーが減産を避けるべく、半導体の確保に努めていますが、納期の遅延などの影響はかなり大きなものとなっています。

半導体は単なる電子機器ではなく、国家の存続を左右する重要なアイテムと言えるのです。

一部の半導体不足は解消の見込み

TSMCが半導体工場を建設することで、一部の半導体は解消されるだろうと予測されています。今回、建設される半導体工場で製造されるのは、線幅『22~28nm』の半導体と言われています。

半導体にも多くの種類がありますが、特にこの22~28nmのロジックと呼ばれる半導体は、ソニーが得意するセンサーや自動車産業で需要が高い半導体となっています。

12~16nmも追加!

当初、TSMC熊本工場では、22~28nmの半導体と発表されていましたが、更に12~16nmの半導体も製造することが発表されました。より微細化された半導体が製造されることで、国内にもより高度が半導体製造技術の展開が期待されますね。

今のところ、ソニーへの提供のみが発表されており、自動車産業への提供は名言されていませんが、政府が補助金を出すこともあり、ほぼほぼ自動車産業にも半導体が提供されると考えて間違いないでしょう。

もちろん半導体もロジックだけあっても物が出来るわけではありませんが、半導体の中でも重要な役割を果たすロジックが国内で手配出来るとなれば、半導体不足が解消に一歩近づくのは間違いありません。

TSMC熊本工場にデンソーも参入!

TSMCとソニーで建設される計画だった熊本工場ですが、ここにデンソーも参入することが発表されました。400億円の出資を行い、株式を10%取得します。

当初から、デンソーの参入については噂されていましたが、条件が固まり、本格的に発表に至ったということだと思います。デンソーは28nm品をターゲットにしているようですが、これは車載向けに使われる半導体ですので、当然、行先はトヨタということになります。

自動車業界は、半導体不足による生産調整を余儀なくされていますが、トヨタとしてはデンソーを通じ、TSMCと関与することにより、将来的な半導体供給不安を解消するのではないでしょうか。

半導体工場の建設場所は熊本県の菊陽町

多くの国で、自国への半導体工場の誘致に多くの力を注いでいます。

半導体工場が自国に出来ることによって、半導体の調達リスクを下げることが出来るためです。

日本でも、前々からTSMCが国内へ工場を建設するという噂はありました。

しかし、長らく真偽のほどは定かではなかったわけですが、今回の発表によって、ほぼ間違いなく熊本県にTSMCの工場が建設されることになるでしょう。

操業開始は、『2024年』となる見込みです。

誘致に成功した日本政府の功績とも言え、工場建設により半導体の確保以外にも様々な雇用が生まれるなど、日本に大きな影響を与えることは間違いありません。

半導体工場の建設費用は日本持ち?

TSMCの国内誘致については、聞き捨てならない情報も出ています。

それは、日本がTSMCに対して支払う補助金についてです。

国内誘致に当たっては、この補助金をいかに支払うか?がポイントになるわけですが、気になるのはその金額です。

今回、熊本県へのTSMCの半導体工場建設については、およそ8000億円の投資と言われています。

そのうちの1部をソニーが負担すると言われていますが、日本政府としては、『最大で4000億円』支払うと報道されています。

もちろん、この4000億円は私たちが普段支払っている税金から調達されることになります。

世界最大のメーカーであるTSMCを呼ぶためではありますが、この金額を高いとみるか、安いと見るかは人によって意見が分かれそうなところではあります。

いくら支払うにしても、そこの説明はしっかりして欲しいものですね。

※11月24日 追記
TSMCの半導体工場建設には、日本政府が4000億円もの補助金を出す他、ソニーも一部負担し、TMSCと合弁会社を設立することを発表しました。また、日本政府は予算として6000億円を準備し、残りの2000億円はマイクロンやキオクシアなど国内の他の半導体会社への補助を検討しているようです

※2月19日 追記
当初、TSMC熊本工場は8000億円と報じられていましたが、9800億円に引き上げられました。これは12~16nmの半導体製造への対応や製造能力のUPによるものです。デンソーが400億円の出資を決めましたが、日本政府も4000億円より補助金を上乗せするのか注目です!

TSMCの半導体工場建設はスーパーゼネコンが受注!?

これだけ大きな工場が建設となれば、気になるのはどこのゼネコンが受注するかです。

ゼネコンにとっても大きな工事を受注出来れば、業績に大きく寄与することになります。

今はまだ、水面下での争いが繰り広げられているところですが、大成建設や鹿島建設などスーパーゼネコンが受注するのではないかと見られています。

特に大成建設は、今回TSMCが手を組むソニーの長崎工場の施工を担当していたことから、ソニー側からの実績としても申し分ないでしょう。

もちろん鹿島建設や清水建設などのスーパーゼネコンは、キオクシア四日市工場の半導体工場を施工する(している)ことから、こちらも実績としては申し分ありません。キオクシアが現在、建設している四日市の7番目の半導体工場(通称Y7)は鹿島建設が施工しています。

どこのゼネコンが受注するのか気になるところですが、稼働開始時期を考えれば、その答えが出るのはそう遠くはないはずです。

注目されたいたゼネコンですが、鹿島建設が請け負うことになったようです。スーパーゼネコン同士の熾烈な受注競争があったかと想像されますが、鹿島建設が勝ち取ったということでしょう。鹿島建設はキオクシアのY7棟を担当していますので、直近の実績としては問題ないでしょう。

半導体工場建設で熊本県の雇用創出は3000人!?

TSMCの半導体工場が建設されれば、当然、そこには雇用が生まれることになります。
その数、何と・・・・

1500人と言われています。

化学工学人
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地元にとっては大きな経済効果です。

しかし、この1500人はTSMCの工場で創出される雇用であって、関係会社による雇用まで含めれば、倍の3000人まで上るのではないかとも言われています。

これだけの雇用が生み出される影響は大きいですが、同時にそれほどの人数を雇用出来るのかという心配も既に叫ばれています。

人材不足で困難に陥る企業もある中で、操業開始までにこれだけの人数が集められるかも焦点となるのは間違いないでしょう。特に好調な半導体業界は人手が不足している傾向にあるようです。

そういった中で、TSMCの工場が出来ることで、半導体業界の関係者を根こそぎ持っていかれるなんていうことにもなるかもしれません・・・。

今は、半導体不足により半導体を世界中の企業が取り合っている構図となっています。そのために、各地に半導体工場の建設計画が発表されていますが、工場が建てば、今度は技術者の取り合いが始まるというのは、予想がつきますね。

※2月19日 追記
1500人と発表されていた雇用人数ですが、製造能力の拡充によって200人増員されることが発表されました。TSMC熊本工場としては、1700人となります。関連企業も含めれば、3400人になる計算ですが、改めてこれだけの人材を確保出来るかが注目です。

熊本大学はTSMCを見据え人材育成開

TSMCの半導体工場を見据えて周辺地域も人材育成に力が入ってきています。熊本大学では、2022年春に半導体分野で新しいセンターを設置することを発表しました。

毎年、60人もの半導体技術者を輩出している熊本大学ですが、TSMCの半導体工場建設を見据え、更に多くの半導体技術者を輩出しようという考えです。熊本大学 ⇒ TSMCという流れが出来れば、熊本県にとっても好循環へと繋がるでしょう。

化学工学人
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半導体業界を目指す人は熊本大学が候補の1つとなりますね。

工場付近では道路整備もスタート

TSMCの半導体工場は、熊本県の菊陽町になります。既にソニーの工場があり、地元では道路渋滞がたびたび問題となっています。

TMSCの半導体建設によって、3000人もの雇用が創出されれば、更に道路渋滞が発生する恐れがあるということで、地元では道路整備もスタートするようです。

工場建設は、地元によって雇用創出など友好的に迎えられる側面が大きいですが、実は周辺住民にとっては道路渋滞などの問題も発生しうるものであり、注意が必要な面もあります。

化学工学人
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地元住民を考慮して、半導体工場によっては道路が指定されるケースもあります。

こういった周辺工事は地元のゼネコン会社が行うことになり、周辺工事まで含めた経済効果は計り知れません。

TSMCがもたらす効果

日本に大きな影響を及ぼしているTSMCの半導体工場建設ですが、今まで日本にはなかった世界標準が持ち込まれたとも言われています。それが、スピード、英語、賃金、グリーン調達です。

日本では類を見ないほどのスピードで工場建設が進められ、工場建設後は英語が必須、賃金は高く、また運営における調達はグリーン調達が基本です。

このような世界標準とも言える文化が持ち込まれたことは、他社にも大きな影響を及ぼすでしょう。今回、建設を担当している鹿島建設でも経験がないほどのハイスピードの建設に何とか対応しているようです。

この半導体工場建設が上手くいった暁には、鹿島建設には、世界標準の建設スピードを手に入れることになりそうです。

第2工場の建設も発表!(2023年6月14日追記)

2023年に入りTSMCより重大発表がありました!

その発表が「日本に2か所目の工場建設」ということです。既に1か所の半導体が熊本に建設中ですが、その最中に2か所目の発表がありました。

既にTSMCの半導体工場建設によって大きな経済効果を得ている熊本ですが、この2か所目の発表によってお祭り騒ぎ状態です。完全に決まったわけではないですが、2か所目の工場は現在建設中の横に建設することになるようです。

TSMCとしては、日本政府からの補助金を充てにしている部分もあるようで、この交渉次第で状況は左右されると見られます。

しかしながら、TSMCが工場を建設するとなれば、日本経済への効果は大きな追い風になるでしょう。

それを踏まえれば、日本政府はほぼ補助金を出すと見られており、おおよそ見通しが固まったため、TSMCとしても正式に発表に至ったのだと思います。第2工場についても、引き続き鹿島建設が担当することが濃厚ですが、ますます熊本からは目が離せなくなりそうです。

TSMCより発表された第2工場の建設ですが、気になる建設ゼネコンは「鹿島建設では?」という噂が業界内では流れているようです。

既に第1工場の建設を請け負っている鹿島建設ですが、突貫工事などの対応がTSMCでは、好感触で受け入れられている様子です。第1工場に引き続き、TSMCの第2工場建設も受注となれば、大規模案件の受注になること間違いなしです。

鹿島建設は、TSMCの他、国内の新しい半導体メーカーであるラピダスの北海道工場の建設も受注しています。TSMCの熊本とラピダスの北海道と鹿島建設は、国内の半導体工場を数多く手掛けることになりそうです。

TSMCの半導体工場建設のまとめ

世界最大の半導体生産受託企業であるTSMCが日本の熊本県に工場を建設します。

タッグを組むのは、ソニーですが、その投資費用は1兆円とも言われています。

およそ半分の5000億円が日本政府から補助金として支払われる可能性があるとのことですが、半導体の安定調達や雇用の創出などプラスの効果を期待できます。

更に第2工場の建設もほぼ決まる中、TSMCが日本経済に与える効果というのは過去に類を見ないほど大きなものになりそうですね。

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