TSMCの設備投資は5兆円!気になる投資先はどこに?

TSMCの設備投資最新テクノロジー

TSMCが2022年の設備投資額は440億ドル(およそ5兆円)になると発表しました。

化学工学人
化学工学人

5兆円の使い道や投資先が気になるところですね。

今回は、TSMCの2022年の設備投資について解説します。
ますます激化が予想される半導体業界でTSMCは2022年も業界首位を走ることは出来るのでしょうか?

それらは全て『5兆円の使い道』が明らかにしてくれます。

この記事から分かること
  • 5兆円の投資先とその使い道
  • TSMCが描く設備投資の先にある未来

設備投資額は2021年の40%増

TSMCが発表した2022年の設備投資額ですが、2021年と比べると40%増です。景気が悪いなんてニュースも聞こえてくる中で、これだけの設備投資はいかにTSMCが好調であるかを示しています。

また、半導体業界は『投資競争』という言葉があるほど、投資を続けることが非常に重要な業界です。設備投資を行い、業務を拡大し続けることが、半導体業界で勝ち残る、唯一無二の方法と言っても過言ではありません。

かつて日本も半導体業界では、世界でも有数の製造メーカーが多数、存在していました。しかし、投資競争に敗れることにより、現在ではほとんどのメーカーが撤退しています。経産省の最新の発表では、2030年には日本の半導体のシェアは0%になる予測もある状況です。

半導体のシェアのグラフ
出典:経済産業省

日本政府は、熊本県菊陽町にTSMCの工場誘致を成功させました。設備投資5兆円の内、4,000億円が熊本県の工場建設に充てられることになります。それでも、TSMCの設備投資額からすれば、たったの8%です。

設備投資先は台湾がメイン

TSMCの設備投資先ですが、メインは本国の台湾となります。既に台湾国内には複数の工場を保有しているTSMCですが、更に工場を建設し、半導体製造能力の拡大を図る模様です。

手始めに手掛ける工場としては、台湾でも南部に位置する台南市となります。その後、台湾北部の新竹(しんちゅう)に工場を建設する計画となっています。

更に台湾の中部にある台中市でも工場の建設を検討しています。台中市への工場建設が決まれば、台湾北部・中部・南部に半導体工場が建設されることになり、半導体製造において盤石な体制が築かれることになります。

台湾で拠点を拡大する他、TSMCは日本の熊本県、アメリカではアリゾナ州に半導体工場の建設を予定しています。世界の主要国にTSMCの半導体工場が続々と建設が続く流れです。

台湾に2nm半導体工場を建設

TSMCが5兆円もの設備投資額で建設するのは、最先端の半導体工場です。半導体は、線幅で先端度合を示しますが、台湾に建設する工場は2~3nm品です。

台南市に建設される半導体工場は3nm品の半導体建設工場になりますが、製造されれば世界で初の3nm品の半導体となります。2022年の下半期から量産が開始される見込みとなっています。

新竹や台中市建設されるのは、3nm品より1世代先をいく2nm品の製造工場となります。このクラスの半導体は世界でも数社しか製造することが出来ず、TSMCはその中の数少ない1社となります。

ちなみに、TSMCが日本の熊本県に建設する半導体工場は22~28nm品の製造工場です。新竹に建設される半導体工場の線幅はおよそ11~14倍です。日本にとっては必要な技術ではある一方で、TSMCの中ではかなり古い技術の半導体工場ということです。

半導体の微細化で独走態勢へ!

TSMCが5兆円の設備投資を行い目指すは『半導体業界での独走態勢!』に他ならないでしょう。

半導体業界の中で、TSMCはトップグループに位置していますが、サムスン電子など他の企業としのぎを削っている状況です。3nm品の半導体はTSMCに半年程度遅れてサムスン電子も年末から量産する計画です。

こういったライバル企業を更に引き離し、TSMCが独走態勢を築くための設備投資5兆円と言えるでしょう。もちろんサムスン電子をはじめ、ライバル企業も黙っているわけではありません。

化学工学人
化学工学人

2022年も半導体業界において熾烈な争いが継続すると言えるでしょう。

豆知識:TSMCは売上も過去最高

TSMCの設備投資を支えているのは売上と純利益。2021年12月期で売上・利益とも過去最高の数字となっています。更に数年間は年間売上が15~20%増となる見通しであり、旺盛な設備投資は、こういった好調な業績見通しがあってこそとも言えます。

TSMCの5兆円設備投資のまとめ

TSMCが発表した2022年の設備投資額5兆円、これは半導体業界で確固たる地位を確立するために台湾を中心に投資されることになります。

5GやAI、自動運転など半導体の需要はますます増える見込みですが、それらの需要に対応するための設備投資とも言えます。

この先の売り上げ見通しも好調なTSMCですので、2022年の5兆円に引き続き、来年、再来年と設備投資額は更に増加していく可能性もあるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました