『九州シリコンアイランドってよく聞くけど何?』
九州シリコンアイランドというワードが半導体業界では少しずつ聞こえてくるようになりました。
きっかけは間違いなくTSMCとソニーによる半導体工場の建設でしょう。
しかし、九州シリコンアイランドって何?っていう人も少なくないはず・・・
気になる『九州シリコンアイランド』について由来やこの先の希望について解説します。
この記事からはこんなことが分かります。
九州シリコンアイランドとは?
日本には各地に半導体の製造工場がありますが、とりわけ九州は半導体産業のエリアとして有数です。
多くの半導体製造メーカー・装置メーカーが進出しており、1980年代には全世界の半導体生産量のおよそ10%を九州が占めていました。
このような状況から、『九州シリコンアイランド』と呼ばれるようになったのです。
※『シリコンアイランド』の名称はシリコンバレーを参考に生まれています。
九州は世界でも名だたる半導体製造拠点だったわけだね。
九州シリコンアイランドのスタートは1960年代に三菱電機が九州への進出です。この時の進出先は、九州の中でも熊本県でしたが、これを皮切りに多くの半導体製造メーカー・装置メーカーが九州に進出することになります。
熊本県と言えば、TMSCとソニーが半導体工場の建設を発表し大きな話題になりましたが、その出発点は1960年代にあったと言えるわけです。
どうして九州が選ばれたのか?
九州は、半導体製造において必要な要素が豊富に揃っています。
『水』・『電気』・『輸送手段』・『労働力』
半導体を製造する上で、上の4つは必須の要素となりますが、九州にはこの4つが揃っています。この中でも特に『水』はとても重要です。半導体製造において、綺麗な水を多量に使う必要があるため、綺麗で豊富な水資源を有する九州は半導体製造に向いている地域と言えるわけです。
半導体製造に適した環境を求めて、多くの製造メーカー・装置メーカーが進出し、九州シリコンアイランドが形成されていくことになりました。
2024年までに3500人規模の求人が発生
2024年までに九州には熊本県を中心に最低でも3500人規模の求人が発生する見込みです。理由は、『TSMC熊本工場の建設』です。TSMC熊本工場だけでも1700人規模の求人が発生しますが、周辺企業も含めれば3500人程度は固いでしょう。
これだけの人数を採用するとなれば、九州といえど、なかなか人材の確保は難しいことが想定されます。最終的には、全国はもちろんのこと、世界中から人が集まるはずです。
優秀な人材が集まることも予想されますので、九州シリコンアイランド復調の一手になることは間違いないでしょう。
ソニーをはじめ有名メーカーが活躍!
三菱電機の後、多くの有名半導体メーカーが九州シリコンアイランドへと進出しました。今や日本の半導体業界を代表するソニーも1980年代に進出しています。
それ以外にも、東芝・東京エレクトロン・アルバック・SUMCO・ルネサス・ローム・旭化成・京セラと上げればキリがないほど多くの半導体関連メーカーが九州シリコンアイランドで活躍しています。
日本の半導体製造の衰退と共に、一時は九州シリコンアイランドの生産量も世界規模で見ればわずかなものとなりましたが、ソニーのCMOSセンサーをはじめ、TSMCの工場進出などにより、今後、九州シリコンアイランドの半導体製造量が増加するのは間違いないでしょう。
シリコンアイランドの中心は熊本
九州シリコンアイランドは、各県にメーカーが点在していますが、今後は熊本県が中心となっていくのは間違いないでしょう。既にソニーがCMOSセンサーの製造工場を構えている他、横にはTSMCの製造工場も建設されます。
すぐ傍には半導体装置メーカーとして世界有数の東京エレクトロン、熊本県内には他にも堀場製作所やアルバックといったメーカーもあり、半導体製造メーカーをバックアップする体制も整っているのです。
更に熊本県は、半導体製造において重要な要素の1つである『輸送手段』にも優れています。
ソニーの熊本工場を例に上げれば、各輸送手段までの所要時間は下記の通りです。
- 熊本駅まで :自動車でおよそ40分
- 熊本空港まで :自動車でおよそ20分
- 高速道路乗り場まで:自動車でおよそ30分
このように主要な移動手段(高速道路・電車・飛行機)が揃っているばかりか、ソニーの熊本工場はそれぞれ1時間足らずで行くことが可能となっています。これは人材や物資の流動性が上がることに繋がり、半導体製造にのみならず、ビジネスが発展する上では非常に重要な要素となります。
人が移動しにく、物が運びにくいでは、ビジネスの発展はなかなか難しい・・・
半導体復権の兆しとなるか!?
九州シリコンアイランドが熊本県を中心に今後、復活するとなれば、気になるのが日本の半導体が復権となる否かです。
結論から言えば、すぐには難しいでしょう。
TSMCの熊本への半導体製造工場の建設は、半導体産業の盛り上がりに大きな期待を集めたのは間違いありません。また、国内勢でも半導体大手のキオクシアが四日市のY7工場に引き続き、岩手県の北上市に2棟目の工場を建設するという話もあります。
日本国内だけ見れば、半導体産業への投資は盛んに行われているように見えますが、残念ながら海外はそれ以上の投資を行っています。
例えば、今回、日本が半導体産業へ出す補助金は6,000億円と言われていますが、アメリカでは6兆円近くの補助金が出されています。この金額だけでも、海外がいかに本気で半導体投資を行っているかということが分かるでしょう。
もちろん金額だけが全てではありませんが、やはり技術的な成長や優秀な人材の確保など諸々にお金が必要なのは間違いないのです。
実は日本が独占している分野も!
半導体製造という部分では、苦しい状況を強いられている日本。今後、ソニーやキオクシアといった国内メーカーの躍進に期待したいところですが、実は半導体産業の中で日本が独占している分野もあります。
半導体製造装置や材料といった分野になります。
例えば、何度が登場している『東京エレクトロン』は半導体装置のメーカーとして世界有数です。コータ/デベロッパーという装置では世界のシェア90%以上を握っています。
他にもこういった世界シェアを大きく握るメーカーが多数存在しており、日本は半導体製造になくてはならない企業が盛り沢山です。
半導体というと、半導体製造メーカーに向かいやすく、日本は劣勢と報道されることが多いですが、少し目をズラせば、日本が覇権を握っているとも言えるのです。
九州シリコンアイランドのまとめ
九州シリコンアイランドは、かつて九州が半導体製造において栄華を極めていた時期に付けられた名称です。半導体製造に向いた土地や気候は、今でも多くの半導体関連企業を集めています。
昨今では、かつてのような栄華こそありませんが、TSMCの半導体工場建設などで復権の兆しも見えてきています。今後、多くの企業が進出し、九州シリコンアイランドが盛り上がることは間違いないでしょう。
九州シリコンアイランドの復権を皮切りに、日本の半導体産業の益々の盛り上がりにも期待したいですね。
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