『2022年、半導体不足は解消に至るのか?』
半導体不足が騒がれてから、気になっている方も多いのではないかと思います。
半導体不足が物不足へ繋がり、様々な影響をもたらした2021年ですが、2022年、半導体不足は解消するのでしょうか?
それとも半導体不足は継続し、物不足や工場の操業停止などに追い込まれるのでしょうか?
気になる半導体不足について、発生した原因と解消の見通しを解説します。
この記事からこんな事が分かります。
2022年、半導体不足は解消しない
結論から言いますが、『2022年も半導体の不足は解消しない』という見通しが濃厚です。
半導体不足の解消を願う人にとっては残念なニュースですが、2022年も半導体の需要は旺盛な状況が続くため、いきなり解消には繋がらないでしょう。
この予想は、多くのアナリストや半導体の関係者が述べています。
半導体の大手ファブレスメーカーのArmのCEOも2022年も半導体不足は続くと、「Web summit 2021」で語ったとされています。
ただし、2020年から2021年にかけて発生したような半導体不足には至らないという予測もあります。半導体不足は継続するものの、回復基調になるというものです。
この半導体不足の今後の解消については、原因と対策を考えてみると見えてきます。
半導体不足の原因と対策について考えてみるよ。
なぜ半導体不足は起きたのか?
半導体不足に限らず、物が不足する原因は分かりやすく2つの要素で考えます。
『需要と供給』です。
誰もが分かっていることではありますが、半導体不足についても需要と供給を考えることが大事であり、原因も今後、解消するのかどうかも予想することが出来ます。
半導体不足のニュースなどでは、コロナの影響やサプライチェーンの混乱などで語られることが多くなっています。もちろんこれらが不足の原因になっていることは間違いないですが、問題を考える上で複雑にしている側面もあります。
原因をわかりやすく理解するためには、出来るだけシンプルに考えることがコツです。今回は、『需要と供給』という2つの側面から出来るだけ簡単に半導体不足について考えてみます。
Simple・Compact・Easyに考えてみます。
半導体の需要が爆発的に増えた
半導体不足について、需要面から考えた時に原因の1つは『爆発的に需要が増えた』ことがあります。
ポイントは『爆発的』という点です。通常、製造メーカーは需要を予想しながら製造設備への投資や需要への対応を計画します。半導体は注文からお客へ届けるまで数か月かかるため、特にこの予想というのは大事です。
そのため、半導体の需要が少しぐらい増えたところでは、半導体不足には至りません。今回は、その予想を超える『爆発的』な需要増があったということです。
予想を超える需要ですから、半導体製造メーカーは対応することが出来ず、半導体不足に繋がることになりました。では、どうして半導体メーカーの予想を超えて、『爆発的』な需要増となったのでしょうか?
IT機器がメッチャ売れた
『爆発的』な需要は、IT機器がメッチャ売れたということになります。特にPCやタブレットといった端末は2020年からGIGAスクール構想によって全国の教育現場に配置されています。
そのため2020年は、PC業界にとっては天国と評されるほどの需要があったわけです。更にリモートワークや巣ごもりといった生活様式の変化によって、輪をかけて需要が伸びることになりました。
リモートワークや巣ごもりはコロナが原因と言われているね。
これらの機器は半導体を搭載していますので、大量の半導体が消費されることになります。また、PCやタブレットなどの需要が伸びるとデータセンターなどの需要も増えることになり、半導体の需要はますます増えることになったのです。
このように半導体不足が起きた需要面からの原因としては、『IT機器がメッチャ売れた』ということになります。もちろん他にも様々な原因が複雑に絡んでいますが、シンプルに考えれば、これが最大の原因になります。
供給不足の原因は『人と資源』
半導体不足の需要面は『爆発的な需要増』ということでわかりやすい原因でした。供給は、半導体需要に対する供給不足となりますが、この原因が『人と資源』になります。
まず、半導体に関する人の部分ですが、これは製造するための人ということになります。コロナの流行が世界中で見られ始めた2020年、実は世界中の半導体工場では人の流出が起きていました。
半導体の需要がまだそれほど旺盛ではなく、むしろ需要としては少ない状況でした。そういった中、半導体工場も製造を縮小し、その一連の流れで製造するための人も流出していたのです。
その後、半導体の需要が爆発的に増加したのは既に説明した通りですが、時すでに遅し、一度流出した人はすぐには戻ってこず、半導体を作りたくても作れない状況となったのです。
半導体の製造は技術を要するため、人の育成もとても時間がかかるよ。
半導体の供給不足は資源も要因の1つです。資源とは、『電気・コンテナ』です。1つずつシンプルに解説していきたいと思います。
電気不足による影響
半導体の製造には多くの製造装置が必要であり、そのためには多くの電気が必要となります。電気がなければ半導体を製造することは出来ません。
2021年2月にアメリカに大寒波が発生し、大規模停電が発生しました。これにより半導体製造工場は稼働の停止を余儀なくされ、旺盛な需要に対して供給出来ないという事態に陥っています。稼働再開までには、最低でも数か月の時間を要し、半導体の供給に大きな影響を及ぼしました。
ちなみに、資源で言えば、半導体製造には『水』も非常に重要です。半導体製造には、超純水と呼ばれる綺麗な水が必要不可欠となっています。そのため、水不足も半導体の供給に大きな影響を及ぼすことになりますが、台湾の半導体製造メーカーであるTSMCはこの水不足に頭を悩まされています。
雨量が少なければ、半導体工場の停止に繋がり、昨年も水不足によって製造縮小の可能性も示唆するなど業界には大きな影響を及ぼしました。
水不足は関係者をやきもきさせる問題の1つです。
コンテナ不足による影響
コンテナというのは、海上輸送用のコンテナを指しています。コロナから少しずつ回復の兆しが見えてきた昨年、物流が一気に動き出し始めました。
今まで動かなかった物流が一気に動くことになり、海上輸送量も激増することになったのです。結果として、運ぶために必要なコンテナが足りないという事態に陥ったのです。
半導体に限らず、多くの物がコンテナ不足により輸送待ちとなり、またアメリカでは給付金による働き手が戻ってこないなどの原因もあり、一気に滞ることになってしまったのです。
半導体不足は2024年に解消か!?
半導体不足の原因を解説してきましたが、最も大事なのは、『今後、いつ解消するのか?』ということです。これについては、2024年ぐらいになるのではないかと予想しています。
これについては様々な専門家が提唱していますが、当ブログで2024年としているのは『供給側の体制が整い始める』ためです。例えば、日本には熊本県の菊陽町にTSMCがソニーが半導体工場を建設することが決まっています。
2024年の稼働を目指していますが、日本の半導体不足を解消してくれるための一助になるとされています。特に自動車業界に必要な半導体を製造すると見られており、工場の停止や稼働縮小も少なくなるのではないでしょうか。
また、TSMCはアメリカでも半導体工場の建設を進めています。
アメリカのアリゾナ州に建設している半導体工場も2024年の稼働開始を目指しています。インテルやサムスンも同様にアメリカで大規模な半導体工場を建設しています。
国内メーカーもキオクシアが、岩手県にK2と呼ばれる半導体工場の建設を予定されていると言われており、こちらも2024年の稼働開始と囁かれています。
このように半導体不足を受け、半導体製造メーカーは、各社生産能力の増強に力を注いでおり、工場の稼働が2024年に集中しているのです。
工場を建設してから稼働するまでおおよそ2年かかるんだね。
一方、需要については、今後も増加の一途をたどることは間違いありません。AI、5G、自動運転など例を挙げればキリがありませんが、ますます需要が拡大するのは確実でしょう。
TSMC熊本工場は製造能力UPを発表
2024年に稼働する計画のTSMC熊本工場ですが、当初の計画より更に製造能力を向上させることが発表されました。投資額として1800億円の追加、300mmウェハー換算で55,000枚もの生産能力となります。
12~16nmの半導体製造も可能とすることから、日本にはより多く、より微細化された半導体が供給されることが予想されます。もちろんこれだけで国内の半導体不足の解消には至りませんが、解消に向けた大きな一手となることは間違いないでしょう。
半導体不足の解消と原因のまとめ
半導体不足は、『爆発的な需要増』と『人と資源の不足』が大きな原因でした。
今は解消に向かっているものの、需要が増えていることもあり、解消は2024年以降になるのではないかと見ています。半導体不足による、物の供給不足(自動車の長納期化、ゲーム機などの供給不足)は続く見通しです。
更なる需要の創出も目白押しですから、半導体不足は今後も注視しておきたい問題です。
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