イギリスで開催されているCOP26で石炭火力廃止に向けた声明が発表されました。
日本はこれに賛同しなかったことから、国際社会で避難の的になる可能性が極めて高いです。
COP26での動きで、今後、日本にはどのような影響が出るのでしょうか?
経済への影響など気になる今後について考えてみました。
この記事はこんな方にオススメです。
- COP26での日本の動きについて知りたい方
- 石炭火力発電の今後について知りたい方
- 脱炭素社会に向けた動きについて知りたい方
石炭火力廃止に46カ国が賛同
COP26で議長国であるイギリスが発表した石炭火力廃止、46カ国が賛同することとなりましたが、日本は賛同しない形となりました。
これは脱炭素社会に向けた活動に後ろ向きだと判断されることになるわけですが、この声明には賛同国・そうでない国それぞれの思惑が透けて見えています。
最終ゴールは、地球環境保護のための脱炭素に向けた取り組みですが、何度も言うように国家間の覇権争いも兼ねているのです。
石炭火力は二酸化炭素の排出量が多い
脱炭素社会に向けた取り組み、これは二酸化炭素の排出量削減への取り組みとも言えますが、石炭火力発電は、発電方法の中でも二酸化炭素の排出量が極めて多くなっています。
概算ではありますが、石炭火力で発生する二酸化炭素の排出量を『100』とした時、天然ガスが『60』、太陽光に至っては『4』です。
計算方法によっては少し結果が違ってきますが、石炭火力が圧倒的に二酸化炭素の排出量が多いのは間違いないでしょう。
今回、イギリスは議長国としてこの石炭火力による発電方法に切り込んできました。
イギリスは石炭火力への依存度2%
イギリスがCOP26で石炭火力廃止に対する声明を発表した理由は、自国での依存度が低いためです。依存度はたったの『2%』ですから、廃止しても何ら影響はないわけです。
そのため、2024年までに全廃という方針を打ち出しました。
依存度を聞くとすぐにでも止められそうだよね。
COP26で声明を発表し、目標を達成すれば国際社会での評価に繋がりますが、イギリスにとって石炭火力廃止は、達成のハードルが低く、且つ効果的な目標だったわけです。
日本の依存度は『30.4%』
イギリスの『2%』に対して、気になる日本ですが『30.4%』となっています。
イギリスに比べると、依存度は15倍に上るわけです。
日本としては、脱炭素社会に向けた取り組みは進んでいるものの、今すぐに石炭火力廃止というわけにはいきません。賛同したくても、国内の産業を鑑みれば、賛同を回避せざる負えなかったわけです。
ちなみに、日本と同様に賛同しなかった国は、アメリカ・中国・インドなどがあげられますが、軒並み石炭火力発電への依存度は高くなっています。
- アメリカ:20.1%
- 中国:67.2%
- インド:72.5%
この内、中国は温暖化ガスの最大排出国となっていますが、中国は石炭火力廃止に向かうかどうかも定かではなく、中国国内では新たな石炭火力発電所の建設計画も多数存在しています。
イギリスの狙いは日本への輸出
COP26でのイギリスの声明発表は、脱炭素社会に向けた素晴らしい取り組みだと言えますが、イギリスの狙いはそれだけではありません。
イギリスはCOP26での声明を皮切りに経済活動においても優位に運びたい狙いが存在しています。その1つが『風力発電』です。
日本ではあまり知られていませんが、実はイギリスは洋上風力発電において、発電力は世界一の規模を誇っています。導入実績においても他国の追随を許さない勢いです。
つまり、イギリスは石炭火力を廃止するとともに、自国が誇る技術である洋上風力発電を輸出していきたいというのが狙いとなるわけです。
石炭火力の代わりとなる発電方法を持たない国に上手く輸出することによって、自国の経済を安定させたいというのがイギリスが描くストーリーです。
ちなみに、イギリスは他国と陸の繋がりを持たない島国であることは知られていますが、周りが海に囲まれている点を活かして洋上風力発電を発展させました。そして、他国で再生エネルギーの発展が遅れていて、島国と言えば『日本』ですね。
イギリスが洋上風力発電を売りたい相手の最大の相手は、実は『日本』かもしれません・・・
発電の切り札は原子力?太陽光?風力?それとも・・・
COP26のイギリスの声明1つから、国家の思惑が透けて見えますが、日本は今後どうしていくべきか?
脱炭素社会に向けて、石炭火力発電を縮小せざる負えないのは間違いありません。その代わりとなるのが、『原子力』・『太陽光』・『風力』このどれかになると見られています。
原子力は、その危険性の部分から急激な拡大は難しく、再稼働に向けた取り組みも発電会社によって様々です。
太陽光は、既に先進国の中でも国土辺りの導入量はトップで、入れたくてもこれ以上はなかなか入れることが出来ない状況です。
そうなると、残されるのは風力ですが、残念ながら国内には風力発電を完結出来るメーカーは存在せず、輸入に頼らざる負えません。
どれも切り札にはほど遠い・・・・
他にもグリーン水素、ペロブスカイト構造の太陽電池など、明るい技術の話題はあるものの、実用化には程遠く、日本の切り札をどうするべきか非常に悩ましい状況と言えるでしょう。
しかし、うかうかしていては発電量不足となり、国内の産業に影響が出ることは間違いありません。既に石炭火力発電を避けたい国が天然ガスの発電に切り替えることで、日本の天然ガスの発電のコスト増に繋がり、電気代の値上げへと影響が出ているのです。
COP26や脱炭素社会と聞くと、まだまだ日本の中には他人事と考える人も少なくないです。しかし、その人たちが日常的に使う電気の値段は、COP26や脱炭素社会の活動の結果、上昇しているのです。
まとめ
COP26でイギリスが声明を出した石炭火力廃止ですが、日本は賛同しませんでした。
ここには代替の発電方法の不足などが絡んでいる一方、イギリス側には風力発電を輸出したい意向も見え隠れします。
また、電気代の値上がりが続くのは、石炭発電の世界的な縮小が原因です。
日本がこの先、どのような発電戦略を取っていくのか?
その選択1つで電気代を始め、日本の産業が大きく動くことは間違いないでしょう。
COP26の石炭発電巡るやり取り、雑談のネタにしてみてね。
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